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Hump Back:クジラ 「クジラ」
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Hump Backの「クジラ」は、Gsus4をベースとしたコード進行で始まり、崇高感と豪華さが同居している。シンガーソングライター林萌々子のギターが担当するコード進行のソプラノ声部は、和声学的にいえば不協和音の効果を生み出すのだが、これはパワーポップの曲においてはかなり粋な使い方である。EP盤『涙の行方』収録のこの曲では、器楽がよりクレバーに使われている。左手で弦を押さえるミュートで奏でられる「チャカチャカ」という音色、Aメロの2番での不協和音の3つの音符によるアクセント、ギターによる突然の演奏の中断と再開などである。前半と後半で性格が異なるギターソロも、短いものではあるが挿入されている。前半はコード進行にうまく合致するのだが、後半はコード進行から大きくずらされている。Aメロとサビのキャッチーなメロディーには、ぴかのベースと美咲のドラムが勢いよく付き従う。萌々子は、彼女のトレードマークである10代の子が悩みそうな鼻にこもる声が表に出過ぎないように、うまくコントロールしている。チャーミングな曲だ。
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