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GLIM SPANKY: Walking On Fire アルバムレビュー
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Walking On Fire は同バンドの6年のキャリアにおいて、数々のEPやシングル、ライブDVDに次ぐ5枚目のアルバムとなる。これはどこか不揃いな一枚ともいえる2018年のアルバムLOOKING FOR THE MAGICを経て、原点回帰となるアルバムだ。LOOKING~のベスト4曲、「愚か者たち」(“Fools”)、 “All Of Us”、“To The Music”、“In The Air” を含む同アルバム収録曲のほとんどが以前シングルリリースされたものであった。
強力なソウルの2曲 “To The Music” と “In The Air” は実に優れた名曲だ。レミと寛貴が生み出したグルーヴは、ナイル・ロジャースも誇りに思うだろう。“All Of Us” と「愚か者たち」 (“Fools”) はこの10年の最高傑作に入る2曲だ。前述した通り、レミほど優れたロック曲を書ける者は他にいない。これらの曲がそのことを証明している。
しかし、レミのイマジネーションを捉えて書かれたネオサイケデリック系の曲が多すぎた。“Flowers”、“Love Is There”、“Looking For The Magic”も佳作だったが、この系統はすでに2017年のアルバムBIZARRE CARNIVALで出し尽くしている。ビートルズファンを公言するレミがビートルズの実験的なサイケ楽曲に敬意を表したかったのであろうことは理解できる。しかし“Strawberry Fields”の時代は結局のところ、ビートルズのキャリアにおいて短期間の道草に過ぎなかった。ザ・ホワイト・ストライプスの影響を受けた“TV Show”と同様、これらの曲はパスティーシュ、つまりオリジナル曲の模倣であった。
そう、これらの最新の曲は切望や物悲しさといった感情に溢れている。レミは世界に直面する若者の困難について歌うことも多い。絶対的な美しさの “By Myself Again” では、レミは「わたしはもう大人で 今日から一人で生きてゆく」と歌う。これまでもしてきたように、心に深く刻み込まれた思いを歌詞に書いている。彼女の世界は希望と失望が半々でできているように見える。
“AM06:30“「こんな夜更けは」(“Such A Late Night”)、「ストーリーの先に」(“At The End Of The Story”)等のバラードでは、メロディに合わせて心を揺さぶる歌詞を書くレミの才能が発揮されている。「若葉の時」(“The Time Of The Young Leaves”)の歌詞「丘の上 稲は揺れている」のように、レミは生活の中の喜びの瞬間を書くことが多い。しかし青春期の痛々しい経験を露にすることも避けては通らない。「ストーリーの先に」(“At The End Of The Story”)では、語り手は影だけを道連れに細い野道を歩いている。肩を叩く亡霊に惑わされず、月に見守られている。
「道化は吠える」(“The Clown Barks”)はアップテンポなハードロックだ。“Up To Me”ではどこかエキゾチックなリズムとキャッチ―な「Oh-oh-oh-oh oh-oh-oh oh-oh-oh-oh-oh」のコーラスを取り入れている。GLIM SPANKYのレパートリーの中でまったく新しい作風の筆頭となるこの曲は、リスナーの印象にもいちばん長く残る曲かもしれない。
締めの曲 “Circle Of Time” は同アルバムで最もネオサイケデリックに近い曲だろう。しかし、BIZARRE CARNIVAL やLOOKING FOR THE MAGICの曲よりも純粋なロック感がある。
Walking On Fire は、Sunrise Journey やNext One といったGLIM SPANKYの初期アルバムほどの高みには到達しないかもしれない。理由はシンプルで、このアルバムにはもっとメロウな雰囲気があり、それゆえ純然たるハイがより少ないということだ。それでも、Walking On Fire は熟達の域に達した GLIM SPANKYのクラシックロックの作風、ビートルズやローリングストーンズの影響が浸み込んだスタイルを再確認できる作品となっている。GLIM SPANKYの新譜は、出るたびに聴く興奮が味わえる。Walking On Fire は真に偉大なロックバンドの作品コレクションに加わる価値ある1枚だ。
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素敵な文をありがとうございます。レミの父ですがその通りだと思います。私が言うのはあれなので。
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