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Rie a.k.a. Suzaku:ギターの世界の著名な人物

Rie a.k.a. Suzaku:ギターの世界の著名な人物 - Raijin Rock
Rie a.k.a. Suzaku:ギターの世界の著名な人物

彼女は完全に形成された海から登場しました

ギタリストのRie a.k.a Suzaku は、ギリシャ神話の女神アフロディーテのように、完成された状態で登場した珍しいロックアーティストの一人です。 Rieのアルバム「Kingdom of the Sun」のジャケットはアフロディーテの神話を思い出させます。Rieは緑と青の海に半身つかりジャクソンのギターを抱えながら濡れた虹色の髪を空に向かって嬉しそうに跳ねあげます。 Rieのこのイメージは、生の純粋な喜びを女神が空に腕を上げる様で表現したジョージ・クルックシャンクの絵画「アフロディーテの誕生」を連想させます。 背景には太陽を洗うかのような海の泡と虹が抽象的に描かれています。 Rieの音楽は喜びに満ちているのでこのイメージは彼女にぴったりだと言えるでしょう。

Fly Away

Rieの最初のEP盤「Messiah」(2010年)は実に完成された作品です。 重厚なリフ、高揚する歌詞、熟練のギタープレイなど、彼女の世界観を定義する全ての要素がこのデビュー盤には自信と共に詰まっています。  Messiah収録曲は大抵、その曲の雰囲気を確立するためにキーボードもしくはシンセサイザーで始まり、その後、無機質に重ねられたギターが入ってきます。ドラムは強烈に叩き始めます。 強力なボーカルが曲を導き最終的に驚くほど爽快なコーラスに変わります。-そして、Rieの素晴らしいソロは空に舞い上がり雲を超えていくかのようです。

これは非常にスリリングな瞬間です。 しかし、Messiahから最新アルバム「Top Runner」までの彼女の膨大な量の作品からどれが最も前衛的で革命的であるかを選ぶのは難しいでしょう。 Rieには最初から明確なビジョンがあるかの如く、シンプルなものから複雑なものまで常に新しい様々な表現方法を探り続けています。

Rieの音楽性とビジョンは常に一貫していると評価されていますが、単に一つジャンルのアーティストとしてとどまっているわけではありません。 メタル・ギタリストとしてだけでなくて、 プログレッシブ・ロックのギタリストである時もあれば、現代的なジャズギタリストである時もあります。確実に言えるのは、 彼女はたくさんの引き出しを持ちながら、それを独自に昇華し自分の心の中で聴こえてくる彼女ならではの音楽を作り出していることです。 Rieが自宅のレコーディングスタジオでそれらのインスピレーションをすべて組み合わせ、リフ、メロディー、コード進行を作成し、エキゾチックなハーモニーを構築しているところを誰もが容易に想像できることでしょう。

Asuka

様々な要素を一つにまとめあげる彼女の能力を示す好例は、アルバム「Noah’s Ark」のオープニングトラックである「Asuka」でしょう。歌は、雰囲気のある電子楽器で始まり、繊細なピアノのアルペジオに導かれ、ボーカリストのDiaがコーラスのスローバージョンを歌い、ドラムが入ってきます。それに、Rieの素晴らしいギターが続きます。 突然、すべてが一旦止まり、詩が現れ、徐々に速度が上がります。 また、バンドの演奏が再び速度を上げ始める前に、より遅いピアノのテーマが引き継ぎます。 ダブルキックドラムがすべてに火をつけ 強力なコードが勢いを押し進めます。

そして、きっとここで超高速のギターソロが入ってくるだろうというところで、リスナーの予想を裏切り現れたエフェクティブなベースラインに続き再び演奏がピタッと止まります。 次に何が起きるかもう分かりますね。バンドは全速力で再び演奏を始めます。 最後に、Rieのギターソロが始まり、そこで彼女はすべてを出し切ります。この時点までにリスナーはすでに驚くことに慣れてしまっています。 したがってこの後バンドが超高速コーラスで再び突進してももう誰も驚かないでしょう。 そしてメジャーコードの長いフェードアウトで終わります。

「Asuka」は7分もある曲なので、Rieはテンポを何度も変更し様々なインスト・パートを組み込んでいます。もちろん「Time Paradox」のような3分半のインスト曲においても魅力的なパートがたくさんあります。 この曲には全てが備わっています。クランチーなオープニングリフ、心を揺さぶる「コーラス」パート、スパニッシュ・ギター及びピアノによる間奏、そして燃え上がるようなギターソロ。言いたいことは分かるでしょう?

Seven Seas

彼女のアートビジョンが最初から一貫しているとはいえ、それはRieが同じことを繰り返しているという意味ではありません。 Kingdom of the sun、Seven Seas、Top Runnnerなどの彼女の3つのアルバムは、以前の作品よりもはるかにカラフルなものとなっています。 これらのアルバムで反映されている彼女の音世界はリスナーの心の中に海や月のイメージをすぐに抱かせます。 Seven Seasの「Dolphin Dance」では、テンポの速いオープニングリフが明るいメインテーマにつながっていますが、その後、このリフは場面転換に効果的に使われ、船(またはイルカ)が方向を変えて別のコースに向かっていくかのような感覚をもたらしています。

ボーカル作品に関しては、彼女は様々なミュージシャンを起用しています。 主に女性ボーカリストとコラボしており、彼女たちの声は、Rieのジャクソンギターに搭載されたハムバッカーと同じほどパワフルです。 たとえば、声だけで他を説得させてしまうIbukiのボーカルは、Messiahアルバムの「End of the Darkness」や「Messiah」、Dreaming Eyesアルバムの「Escape」などで聴くことができます。 これらの作品はすべてロックファンを魅了してやみません。

また、Diaとも頻繁にコラボしています。DreamingEyesの「Oblivion」でのコーラス・パートで感じられる高揚感は彼女ならですね。また Rieは、楽器隊とのコラボにおいても直観に従った素晴らしい人選をしています。 Noah’s Arkの「Universe」では、Rose NoireやUnlucky MorpheusのバイオリニストJillがアンビエントなプレイを聴かせてくれます。新作のアルバム「Top Runner」には、ベース奏者の須藤満、田中晋吾、または日高真夢の素晴らしい演奏が収められています。 また、サックス奏者のWaKaNaと、まだ十代の天才ドラマー、佐藤奏の素晴らしい演奏が収められていることも付け加えておきます。

Mirage

世界には派手なプレイをするギタリストは多くいますが、忘れられないメロディーラインを無尽蔵に作りだせる人は数えるほどしかいません。 そして、Rieは確かにそうしたメロディを紡ぎだす天賊の才を持っている人物です。 彼女は、音域を広く用い興味深い曲を作ることに長けています。 またしばしば2回目、3回目のメロディーを変化させリスナーを飽きさせません。 Mother Earth EP盤からの素晴らしいインスト曲「Mirage」は、口ずさめるメロディをテーマにバリエーション豊かに構築できるRieの才能を示す好例です。

またRieは広い音域を易々と行き来できる素晴らしいギターテクニックとスピードを持っていますが、ただ速いだけではありません。 Rieのレガートテクニックも並外れています。 彼女はテーマメロディーに繊細なスラーとチョーキングを実に見事に加えています。 1つの例は、Seven Seasの「Night Sky Flower」という曲で、レガートは繰り返しのスタッカートセクションにおいて絶妙なアクセントとなっています。

Sunflower

2017年、Rieは短期間ですがドラマーのViVi、ベーシストのAmi、ボーカリストのNickyと共に「RiViNi」というパワーメタルバンドを結成していました。RiViNiの唯一のリリースであるResistanceは、Rieとしてはもっとも変わり種といえます。Resistanceでの曲はキャッチーなフックを持ったストレートな構成になっています。 「Genso Platonic」や「I Wish」などの歌は、1980年代プログレポップマスターであった「Asia」を彷彿とさせますね。 Asiaの記憶に残るAORヒット曲の陰にSteve Howeのギターがあったのと同様、Resistanceの曲においてRieのギターは強力なフックとなっています。

しかし、RiViNiにおいてさえ、Rieは「Sunflower」という曲で見せたようにストレートなままではいられませんでした。 ソロはいくらかためらいがちに始まりますが、それが彼女のフィーリングなのでしょう。ソロは一連の下降する4連符でクライマックスを迎え、またためらいがちなテーマに戻ります。これらが全て約20秒で行われるのです。 その後、RieのソロはViviのドラムグルーブと完璧に調和し、スネアが定期的に良いアクセントになっています。 2人のミュージシャンの間に生まれるケミストリーは、Rieがどのように他のミュージシャンの才能を活かすかという一例です。

RiViNiは、Rieが一般リスナーに迎合した失敗作だったと思われるかもしれません。 しかし、このプロジェクトは短命でしたが刺激的でした。 Rieが常に予測不可能なソロでもってRiViNiの曲に情熱を注ぎ込んだことは価値のある実験だったといえるでしょう。

Top Runner

Rieの最新アルバムであるTop Runnerは、以前のインスト・アルバムよりもパワフルです。 また、ハードロック・ボーカルアルバムで見られたダブルに重ねられたギターは少し鳴りを潜めました。 ジャズとファンクの要素を追加しベーシストにソロを取る余地を与えています。またこのアルバムには 日本の伝統音楽からの影響も感じられます。 とはいえ彼女のメロディックな天賊の才は遺憾なく発揮されています。彼女のトレードマークである、チョーキングの繊細さ、スケールの速弾き、レガートの滑らかさなどは随所に見られます。

Top Runnerのオープニングトラックである「Urban Highway」は、4分25秒の長さの中に膨大な数の独特のテーマメロディーがちりばめられています。 しかし、テーマ素材を料理する彼女のアプローチには遊び心があります。「Top Runner」曲のメインテーマの真ん中にときどき放り込むワイルドなフィル・インを聴いてみてください。 これは、彼女の恐ろしい音楽的才能だけでなく、積極的な姿勢とリスナーを驚かせる能力を示すものです。それはただ単にメロディー対リズムといったことではありません。 Rieは繊細な作曲家であり、無敵のリフモンスターでもあるということです。

Sonic City

作曲とギター・プレイに加え、Rieはすべての曲でサウンド・プロダクション、キーボード、プログラミング、また時折ベースも担当しています。 多くのギター・マジシャン達は、普通、そうした別パートは技術を持っている他のプレイヤーに頼らざるを得ないがために、往々にして自分の芸術をプロデューサーなどの冷淡なビジョンのもとに制限され犠牲を強いられます。しかし Rieはそのような罠に陥ることはありません。 Rieは完全に全てをコントロールし、どんなチャレンジでも最後までやり遂げるタイプの人です。 その結果、彼女は常に探求的なアーティストでありつづけながら、驚くほど一貫した世界を創りあげています。

Towards The Horizon

また、Rieには、単に魅惑的な音楽を作ること以上の能力を感じます。例えば、 「Fly Away」、「End Of The Darkness」、「Towards The Horizon」などからは形而上学的なものがあります。 彼女は、世界をありのままに見ていながら、リスナーを約束の地へ導くかのような音楽を作り出すという使命を帯びているかのようです。 Rieの音楽には、彼女のトレードマークともいえる希望に満ちた感覚があります。 「歓喜、恍惚、夢中」などの「喜びに満ちている」という言葉の同義語は彼女の音楽で想起させられる感情を描写するのにぴったりだと思いませんか。

最初から最後の作品まで、Rieは徹頭徹尾Rieのままです。 彼女の音楽は崇高な美しさ、および、強烈に燃えるような瞬間で満たされています。 結論をいえば、Rieの音楽は魅惑的でインスピレーションに満ちており、彼女が本当に偉大なアーティストであることを物語っています

 

 

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