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R!N 危うさ、そしてセクシーな誘惑。「Get Away/Naked」のレビュー
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一度だけ聴いただけなのに、その後何時間も頭から離れないロックの曲に出会ったとしたら、それはまさに金を掘り当てたも同じことだ。ニルヴァーナの曲を聴いた時に到達したセンセーショナルな感覚と同様の感覚が、シンガーソングライターR!Nがリリースした「Get Away」を初めて聴いた時、起こるのだ。
「Get Away」は、ハートのウィルソン姉妹からパット・ベネターに至るまで、女性ハードロック歌手の伝統をしっかり継承した曲である。ノリが良すぎるくらいのギターフックで曲は始まり、クールでリスナーを惹きつけるバースのメロディ、そして躍動感あふれるサビは、爽快だ。
抵抗しても無駄さ。 R!Nはリスナーを手玉にとっているのだから。ブリッジ部分は、曲のペースを変える役割を完璧に果たしている。ギターとキーボードのバランスの取れたインストルメンタルブレイクの後、R!Nは、冷静さと不安というやや矛盾した要素が入り混じった世界へと曲を展開してゆく。R!Nが、このブリッジの部分を徐々に盛り上げてゆき、最後に「I’m alive!」と晴れ晴れしく叫んで締めくくるというこの素晴らしさを、言葉で説明することは、およそ不可能であろう。
「Get Away」と同じく、両A面シングルとしてリリースされた「Naked」もまた「Get Away」と同様、リスナーを惹きつける曲だ。R!Nが「I’ve got a feeling….」と歌うジャズっぽいサビの部分には、たまらなくそそられるものがある。この曲には、話し言葉調のラップの要素が含まれているセクションがあり、洒落たジャムセッションの様相を呈している。もし、R!Nがメジャーキーではなくマイナーモードでこの曲を唄っていたら、「Naked」は、もっと素晴らしい曲になっていたかもしれない。だがそれは、誰にもわからないことであり、意味のない憶測だ。 「Naked」はそれなりに素晴らしく、魅力的な曲である。
しかしながら、「Get Away」/「Naked」が、ありふれたロックミュージック王道の領域から抜きん出ている要因は、R!Nの声にある。R!Nの声は、力強くパワーがある。決まり文句で言わせてもらうならば、彼女の声のトーンは、渓谷を流れる清流のように純粋だ。彼女は、この二つの曲を、人間の声の可能性の微妙なニュアンスの理解の表現を通して、両方の曲に変化を持たせつつ唄い上げている。
R!Nのボーカルアクセントには、エロティシズムとほのかな誘惑(実際には、かなり露骨なオーラが出ているが)が根底にある。彼女は、わずかな声の途切れと微妙な抑揚の変化を使ってて、リスナーを彼女の世界へと誘っている。R!Nは、女王陛下のシークレットサービスである「00何某」と同じくらい危険な存在なのだ。
R!Nは魅力溢れるソングライターであり、確実に世界で通用するレベルのシンガーでもあることを 「Get Away / Naked」は、如実に証明している。 これと同じようにリスナーを陶酔させてくれるアルバムが続いてリリースされることを願うばかりである。For the English version of this article, please click on “English” at the top of the page.
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