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Mary’s Blood: Saki, 21世紀のギターの神様

Mary's Blood: Saki, 21世紀のギターの神様 - Raijin Rock
Mary’s Blood: Saki, 21世紀のギターの神様

21世紀のギターの神様

「Mary’s Blood」というバンドのギタリストであり、メインソングライターでもあるSakiは、Eric Claptonのスピリットを真に具現化した21世紀のギタリストです。 Claptonは、彼に影響を与えた偉大なブルースギタリスト達のパッションを彼女に伝えました。 Claptonと同様、Sakiは初期のギタリスト達の個性的なスタイルを吸収し、それらを独自のスタイルに昇華させています。 Claptonは、1960年代半ばの作品に最高の興奮を封じ込めました。 同様に、Sakiの作品にも「今のは一体何なんだ?」という瞬間がたくさんあります。 重要な点として、Claptonは過去の偉大な音楽家を祝福し新しいアーティストを指導するという使命を持っていたということが挙げられます。そういう意味では、Sakiもギターの神様Eric Claptonに共通するものを持っていると言えるでしょう。

確かに日本は素晴らしいテクニックとメロディックで個性豊かなたくさんのギタリストに恵まれています。 しかし、Sakiをより際立たせているのは、彼女のギタープレイにおけるピュアなロックンロールスピリットでしょう。 Sakiのリフやソロは飾りではありません。非常に感情に訴えてきます。それらは暖かく感情的に楽曲から飛び出してきて本能を刺激します。

Burning Blaze

Mary’s Bloodは、あらゆる面でストレートなハードロックバンドであり、ドライブ感に満ちた楽曲で聞き手を絶えず引き付けます。Mary’s Bloodは、ギタリストのSaki、ボーカリストのEye、ベーシストのRio、ドラマーのMariによる女性のみの4ピースバンドです。Eyeはロック界で最もパワフルなボーカリストの一人です。 彼女の声には深みがあり個性に満ちています。 また、Eyeはダーティにもクリーンにも歌うことができ、ステージでは抜群の存在感を発揮します。 Mary’s Bloodの秘密兵器であるRioとMariは、曲をもう一段上のレベルに押し上げるため容赦なくドライブさせます。SakiとEyeが最も象徴的な部分を担っているとはいえバンド全員が楽曲にかかわっているのです。

通常、ライブでは、Yashiro(「Yashi」)もサポートギタリストとして参加します。 Yashiは、公式メンバーではありませんが、Mary’s Bloodの活動に大きく貢献しています。 すべてのメンバーがパフォーマンスを楽しんでおり非常に魅力的です。また Mary’s Bloodは非常に多作のバンドです。 忙しいツアースのケジュールにもかかわらず、ほぼ毎年新譜をリリースしています。

初期に3枚のEPをリリースした後、Mary’s Bloodは2014年から2019年まで5枚のフルアルバムをリリースしました。Countdown to Evolution、Bloody Palace、Fate、Revenant、Confessionsといったアルバムは驚くほど特別なものです。 アルバムには、「Bite the Bullet」、「Counter Strike」、「World’s End」などの典型的なハードロックソングから、「Ready to Go」、「HANABI」などのキャッチーなパーティーソング、「Infinite Love」、「In the Rain」などの魅力的なバラードが収められています。

Voyage

初期のEPであるScarletとAzureの楽曲は素晴らしいものの、Mary’s Bloodの特徴である並外れて耳に残るギタープレイと高音域でのコーラスを印象づけるには至っていません。Sakiは、初のフルアルバム「Countdown to Evolution」でソングライターとしての能力を証明しました。 彼女によるオープニングリフは一瞬で混沌を作り出し、安心して身を任せることができます。

画期的なアルバム「Countdown to Evolution」のファーストシングル「Marionette」は、覚えやすいリフにより一瞬で雰囲気を作り出せるSakiの才能の一例です。 「Countdown」は、アルバムの序曲として機能する短いギターファンファーレから始まります。「Marionette」は、アームによるワイルドな演奏で始まります。 その後、ヴォーカリストのEyeは伝統的スタイルを踏襲し「yeah-ee-yeah」との象徴的なスクリームを持って登場します。 次に続くのは、火炎放射とも形容できるリフで、その強靭さときたら本当に極まっています。完全にバンドの制御下にあるパフォーマンスであり、熟練の音像といえるでしょう。

Shall We Dance

Claptonとは異なり、Sakiはブルースの源泉に直に接することはできませんでした。にもかかわらず、Claptonのように、彼女は明らかに過去の巨匠の様々な技術を学びとっています。 Sakiは、Eddie van Halenの名人級の技をほとんど持っています。EVHは、ソロが始まった時に聴衆を常に驚かせました。同様にSakiの叫ぶソロは、聴衆をワイルドで予測不可能な旅に導きます。 彼女がどこから始めどこで終わらせるのか、目的地に着くまでにどれだけ危険で恐ろしい回り道を取ろうとするのかあなには全く予想がつかないことでしょう。

実際のところ2018年のアルバム「Revenant」に収録された「On the Rocks」や「Rolling Start」などの曲は、Van Halenからの影響を感じずにはいられません。「On the Rocks」の泥臭さや堂々とした雰囲気は、David Lee Rothにとって完璧な乗り物になるでしょう。といっても容赦ないボーカリストのEyeがDiamond Daveを裏通りの水たまりに置き去りにしなければの話ですが。 「On the Rocks」のSakiのソロは際立っており、EVHの誇りをロックの定石プレイに載せています。「Rolling Start」は、底抜けに明るいハイスピリットなVan Halenの楽曲を連想させます。 Sakiは、「Rolling Start」に2つの短いながらも至福のソロを奏でこの曲に陶酔感を与えています。

また、女性ロックバンドの先駆者である「Show-Ya」の伝説的なメンバーである「Miki *sun-go* Igarashi」の影響も容易に感じられます。* sun-go *は、予期せぬ出発点からいきなりギアをすばやく切り替えて危険なUターンを行うことがしばしばあります。 Claptonや彼のヒーロー達のように、Mary’s Bloodは* sun-go *の影響を公言し、時々彼女と一緒にステージに登場します。 2017年発売のDVD「Live at Liquidroom」では、Sakiが「Change the Fate」において* sun-go *からの影響を感じさせる短いソロを披露しているのを観ることができます。

Song For You

アルバム「Bloody Palace」でのEyeによる「Moebius Loop」は、Sakiのためのショーケースといえます。「Moebius Loop」は、非常に催眠的な高速リフで、ハードにドライブするドラマチックな楽曲です。 もうこれ以上は望めないとあなたが思ったとしても、バンドはすべてをより高いレベルに上げてからさらにもう一段階レベルを上げてきます。実際にSakiのギターソロは、周囲の竜巻のような演奏に対し比較的抑制のきいたプレイであり周囲の騒乱を乗り越える要素としてより多くの役割を果たしています。Sakiの畳みかけるようなリフは催眠術のようです。 また、Sakiはソロ以外のパートを単にパワーコードで流すようなことはしません。例えば、「Bloody Palace」の「Bloody Birthday」や「Fate」の「Self Portrait」などの曲において巧みなバッキングを聴くことができます。

Sakiのワイルドな魅力は、Yashiのソロアルバム「Astraia」に収められた「Frozen Rose」での客演に観ることができます。 Sakiの短いソロは扇動的です。 約18秒間のシュレッドなギターソロにより、曲の注目すべき導入部分を構築しています。 Mary’s Bloodのアルバムは、このような瞬間に満ちています。Sakiは、さまざまなギターテクニックを素早く連続して使用することにより感動的な雰囲気を作り出すのです。

確かに、Sakiの演奏は派手ですが、彼女のソロは常に楽曲を向上させる役割を果たしています。 たとえば、「HANABI」では、Sakiは花火を表現するために、2つの非常に短い熱狂的なテーマの間に燃えるように下降する三連符を挟み込んでいます。

Ready To Go

Mary’s Bloodのスタジオアルバムは、Sakiの演奏スタイルと同じように、パワフルでインパクトに満ちています。 しかし、彼女達の真の実力はライブパフォーマンスにあります。 3つのフルライブがDVDで入手できます。 Mary’s Bloodは、Sakiに彼女の情熱とギターに対する姿勢を表現するための機会を与えています。 「Marionette」の3つのライブバージョンは、Sakiが即興でアプローチを微妙に変えることを示す完璧な例です。 彼女のその時々の表現とバンドとの繊細な融合は常に楽曲のレベルを高めています。

Infinite Love

Claptonの最も魅力的な要素の1つは、ブルースを布教する伝道者ともいえる情熱です。 同様に、Sakiも若い女性のミュージシャンを励ましプロモートすることに専念しています。 Sakiは、女性ロックミュージシャンを紹介するため定期的にコンサートを開催するWorld Guitar Girls Collection(WGGC)という団体の主催者です。WGGCコンサートの1つでは、当時無名だったAyumiという若いギタリストを紹介しました。Ayumiは現在、BRIDEARの強力なギタリスト及びソングライターとなっています。

Sakiは、生涯を通じてブルースの大使を務めているClaptonのように、若い女性のロックアーティストに対するロールモデル及び助言者として彼女たちを鼓舞し続けています。ツイッター@ WGGC_Officialで公開されているSakiと他の参加者が撮影した2019年2月11日のWGGCコンサートの短いプロモーションビデオを観てください。 普段着のSakiを見るのは非常に奇妙な感覚ですね。ステージ上の彼女の強力な悪魔的なイメージとはまったく異なりますから。つまり、Sakiはロックシティの模範的な市民であり、ロック音楽の伝道者なのです。

Coronation Day

この作品では、Sakiは正確なフィンガリング、極端なチョーキング、繊細なハーモニクス、高速スウィープおよび非常に速いスケールランといったテクニックを使っています。 Sakiは、ドラマーのように楽にこれらのテクニックを様々なテンポで操ることができます。ブラッドレッドの「Killer」ギターに搭載されているアームバーとキルスイッチを使い、Sakiは無限に続くかのような驚異的な瞬間の流れを生み出します。 彼女は楽曲をさらに豊かにする方法を常に模索しているかのようですね。

実際のところ、Sakiがギターで行うことは人間技には思えません。Sakiには、強靭なフック、武骨なリフ、名人級のソロなど、底なしのトリックがあるようです。その結果、聴衆はしばしば「まじか、何が起きたんだ?」などと言うのです。 東京の裏通り、路地や迷路のどこかの壁には「Sakiは神だ」とスプレーで書きなぐられているに違いありません。

 

 

 

 

 

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